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誰にもわかってもらえない孤独感|不安を一人で抱え込まないために

誰にもわかってもらえない孤独感|不安を一人で抱え込まないために ストレスの話

「孤独は、周りに人がいないことから生じるのではなく、自分にとって重要なことを伝えられないことから生じる」

心理学者カール・ユングの言葉です。

不安が強いとき、つらいのは症状そのものだけではありません。

「この苦しさを誰にもわかってもらえない」

「話しても迷惑かもしれない」

「こんなことで悩んでいる自分がおかしいのではないか」

そう感じて、一人で抱え込んでしまうことです。

孤独感は、単に一人でいることではありません。家族や友人がいても、職場で人と話していても、自分の本音や不安を出せないとき、人は孤独を感じます。

そして孤独感は、不安をさらに強めることがあります。

この記事では、不安と孤独感が重なる理由と、今日からできる小さな一歩を整理します。

不安と孤独感が重なる原因

不安と孤独感は、別々の感情に見えて、実際にはかなり深くつながっています。

私のように不安が強い人は、自分の気持ちを外に出す前に、頭の中で何度も考えます。

「こんなことを言ったら重いと思われるかもしれない」

「心配しすぎだと言われたらどうしよう」

「理解されなかったら、もっと傷つくかもしれない」

そう考えるうちに、相談すること自体を諦めてしまいます。

そして、本当は誰かに話したいのに、何も言えなくなる。これが「一人で抱え込む」状態です。

米国公衆衛生局長官の報告では、孤独や社会的孤立は、心身の健康に影響し、抑うつや不安、早期死亡のリスクとも関連するとされています[1]。また、韓国の全国調査では、孤独感が強い人ほど、うつ、不安、怒りといったメンタルヘルス上の問題を抱えやすい傾向が示されています[2]。

「孤独を感じる自分が弱い」という話ではありません。

人はもともと、誰かとつながり、気持ちを共有しながら生きる存在です。ハーバード成人発達研究でも、よい人間関係は幸福や健康に大きく関わることが示されています[3]。

つまり、孤独感は「甘え」ではありません。

心が「誰かとつながりたい」「わかってほしい」と知らせているサインです。

孤独感が不安を悪化させる仕組み

孤独感が強まると、不安は頭の中で大きくなりやすくなります。

誰にも話せないまま悩みを抱えていると、考えは同じ場所をぐるぐる回り始めます。この状態については、考えすぎて動けない3つの理由でも詳しく整理しています。

「このままずっと良くならないのでは」

「自分だけがおかしいのでは」

「誰にも頼れないのでは」

こうした反芻思考は、不安をさらに強めます。

英国心臓財団(British Heart Foundation)の解説でも、孤独感は反芻思考、つまり同じことを何度も考え続けるパターンと関連すると説明されています[4]。

不安があるから相談できない。

相談できないから孤独になる。

孤独になるから、さらに不安が強くなる。

この悪循環に入ると、問題そのものよりも、「一人で抱えている感覚」の方がつらくなることがあります。

ここで必要なのは、いきなり大勢の人とつながることではありません。

まずは、「全部を一人で抱えなくていい」と自分に許可を出すことです。

対処法:孤独感を消すより、少しだけ外に出す

孤独感をなくそうとすると、逆に苦しくなることがあります。

「孤独を感じてはいけない」

「もっと前向きにならなければ」

「誰かとつながらなければ」

そう考えるほど、心は追い詰められます。

大切なのは、孤独感を消すことではなく、少しだけ外に出すことです。

たとえば、次のような方法があります。

まず、自分の気持ちを紙に書き出してみる。

「今、不安だ」

「誰にもわかってもらえない気がする」

「本当は話を聞いてほしい」

このように、短い言葉で十分です。きれいに書く必要はありません。言葉にするだけで、頭の中で膨らんでいた不安が少し整理されます。

次に、信頼できる人に少しだけ伝える。

いきなり深刻な話を全部しなくても大丈夫です。

「最近少し不安が強い」

「うまく説明できないけど、少し話を聞いてほしい」

「アドバイスはいらないので、聞いてもらえるだけで助かる」

このくらいで十分です。

不安が強い人ほど、完璧に説明しようとして話せなくなります。けれど、相談はプレゼンではありません。まとまっていない気持ちを、そのまま少し出すことにも意味があります。

また、人と話すのが難しい日は、散歩や音楽、読書、日記、オンラインコミュニティなど、負担の少ないつながりから始めてもよいでしょう。BHFも、孤独感があるときには、電話、気分が明るくなる活動、散歩、趣味などの小さな行動を勧めています[4]。

今日からできる小さな一歩

今日からできる一歩は、「誰か一人に、短い一文を送ること」です。

長い相談文でなくて構いません。

たとえば、次のような一文です。

「最近ちょっと不安が強くて、少しだけ話を聞いてもらえると助かります」

「今すぐ解決したいわけではないけど、誰かに言葉にしたくなりました」

「うまく説明できないけど、少し孤独感があります」

送る相手が思い浮かばない場合は、自分宛てのメモでも構いません。

「私は今、一人で抱え込んでいる」

「本当は誰かにわかってほしい」

「今日は全部解決しなくていい」

この3行を書くだけでも、気持ちを外に出す練習になります。

孤独を一気に解決しようとしなくて良いのです。

孤独感が強いときに必要なのは、大きな人間関係の改革ではありません。

まずは、心の中に閉じ込めていたものを、少しだけでも外に出すことです。

まとめ

不安と孤独感は、互いに強め合うことがあります。

不安が強いと、人に話せなくなる。

人に話せないと、孤独感が強くなる。

孤独感が強くなると、頭の中で不安がさらに膨らむ。

この悪循環に入ったとき、大切なのは「強くなること」ではありません。

一人で抱え込んでいることに気づくこと。

気持ちを少しだけ言葉にすること。

安心できる相手や場所に、少しだけつながること。

不安や孤独感をすぐに消す必要はありません。

まずは、「一人で抱え込まなくていい」と自分に言ってあげること。

それが、生活を取り戻す最初の一歩になります。

参考文献

[1] U.S. Surgeon General. Our Epidemic of Loneliness and Isolation: The U.S. Surgeon General’s Advisory on the Healing Effects of Social Connection and Community. 2023.
概要:孤独や社会的孤立が心身の健康、不安、抑うつ、早期死亡リスクと関連することを示し、日常的なつながりを取り戻す重要性を提言している報告書。

[2] Cho H, Lee J, Heo J, et al. Association between loneliness and depression, anxiety and anger during the COVID-19 pandemic: a nationwide population-based survey. BMJ Open. 2025;15:e088590.
NCBI/PMC:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12258374/
概要:韓国の全国調査をもとに、孤独感とうつ、不安、怒りとの関連を検討した研究。

[3] Waldinger RJ, Schulz MS. The Good Life: Lessons from the World’s Longest Scientific Study of Happiness. Simon & Schuster; 2023.
日本語版:ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』児島修訳、辰巳出版、2023年。
概要:ハーバード成人発達研究をもとに、幸福や健康において良好な人間関係が重要であることを解説した書籍。

[4] British Heart Foundation. How to deal with loneliness.
概要:孤独感が反芻思考や健康リスクと関連することを解説し、電話、趣味、散歩、マインドフルネスなど日常でできる対処法を紹介している。

[5] Fromm E. The Art of Loving. Harper & Row; 1956.
日本語版:エーリッヒ・フロム『愛するということ』鈴木晶訳、紀伊國屋書店、1991年。
概要:孤独を克服し、人と能動的に関わることの重要性を論じた古典的名著。

[6] 森博嗣『孤独の価値』幻冬舎新書、2014年。
概要:孤独を単なる寂しさや社会的拒絶ではなく、自分の自由や思考を取り戻す時間として捉え直す視点を提示している書籍。

[7] 河野真太郎『ぼっちのままで居場所を見つける――孤独許容社会へ』筑摩書房、2024年。
概要:無理に「つながり」を強制するのではなく、一人であることを否定しない社会や居場所のあり方を考える近年の書籍。

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