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何をやっても反対意見は出るもの|なぜ全員の賛成は存在しないのか

何をやっても反対意見は出るもの|なぜ全員の賛成は存在しないのか ストレスの話

何かを始めようとすると、決まって誰かが反対する。新しい提案をすれば「前例がない」と言われ、やり方を変えれば「今のままでいい」と言われる。よかれと思った選択に、水を差す声が返ってくる。そういう経験が続くと、「自分のやることは、いつも間違っているのだろうか」と、自信を失ってしまいます。

けれど、少し立ち止まって考えてみてください。もしかすると、反対が出ること自体は、あなたの選択が間違っているサインではないのかもしれません。

この記事は、「何をやっても反対は出る」というテーマを扱うシリーズの最初の1本です。最初にお伝えしたい結論は、こうです。何をやっても、たいてい反対意見は出るものであり、全員が賛成する選択は、そもそも存在しない。まずは、なぜそう言えるのかを、一緒に見ていきましょう。


「全員に賛成される選択」は、そもそも存在しない

私たちはどこかで、「正しい選択をすれば、みんなが賛成してくれるはずだ」と思っています。だから反対されると、「自分が間違っていたのかも」と受け取ってしまう。

けれど、この前提そのものを見直す必要があります。人が複数いれば、価値観も立場も、置かれた状況も違います。それだけの違いがある人たちが、一つの選択に全員そろって賛成することのほうが、むしろ稀なのです。

つまり、目指すべきは「全員の賛成」ではありません。それは、最初から手に入らないものを追いかけて、消耗しているようなものです。反対がゼロにならないのは、あなたの力不足ではなく、人が多様であることの、自然な結果です。


なぜ反対は出るのか:3つの理由

では、なぜ反対はどうしても出てくるのでしょうか。大きく三つの理由があります。

理由1:人は、同じものを違って見る

一つ目は、人はそれぞれ、同じ物事を違うふうに見ている、ということです。研究では、人は自分のものの見方を「客観的で正しい」と感じ、自分と違う見方をする相手のほうが偏っている、と考えやすいことが示されています(※1)。

これはあなたにも、相手にも同じように起こります。だからあなたが「これが最善だ」と感じる選択を、相手は「そうは思わない」と、同じくらいの確信で受け取る。見え方が違えば、賛否が分かれるのは当たり前なのです。

理由2:新しいことには、損を恐れる人が反対する

二つ目は、変化には損失への不安がつきまとう、ということです。研究では、人は同じ大きさなら、得よりも損のほうを重く感じることが示されています(※2)。

新しい提案や変化は、誰かにとっては「今あるものを失うかもしれない」ものに映ります。すると、その損を避けたい気持ちから、反対が生まれます。これはその人が意地悪だからではなく、損失を重く見るという、人に共通する心の働きによるものです。

理由3:全員の「本心からの賛成」は、そろわない

三つ目は、たとえ表向き賛成に見えても、全員の本心がそろうわけではない、ということです。人は、多数派と違う意見を持つことに、脳のレベルで居心地の悪さを感じます(※3)。

だから、内心では違和感があっても、その場では口をつぐむ人もいます。逆に、あえて声を上げる反対者もいます。いずれにせよ、全員が心から一致することは、めったに起こりません。賛成に見える静けさの下にも、実はさまざまな思いが隠れているのです。


反対があること自体は、失敗のサインではない

ここまでを踏まえると、見え方が変わってきます。反対が出るのは、あなたの選択が悪いからではなく、人が多様である以上、避けられないことなのです。

もちろん、これは「反対を全部無視していい」という意味ではありません。中には、耳を傾ける価値のある反対もあります。その見分け方は、次の記事で扱います。ここでお伝えしたいのは、反対の存在そのものに、過剰におびえる必要はない、ということです。

全員に好かれ、全員に賛成されることは、そもそもできません(※5)。その場の空気や、みんなの顔色に自分を合わせ続けると、かえって自分を見失います(※4)。反対はあって当たり前、という前提に立てると、一つひとつの反対に、いちいち打ちのめされずにすむようになります。


今日からできる小さな一歩

今日試してほしいのは、最近「反対されて落ち込んだ」出来事を一つ思い出して、その反対を、こう捉え直してみることです。「これは、自分が間違っていた証拠だろうか。それとも、ただ相手と見え方が違っただけだろうか」。

多くの場合、それは後者かもしれません。相手の立場、相手が恐れている損失、相手の価値観。そこに思いを巡らせると、反対は「あなたへの否定」ではなく、「相手の側の事情」として見えてきます。

反対を、自分への評価としてではなく、人と人の違いの表れとして眺める。その小さな視点の切り替えが、反対に振り回されない土台になります。答えを出す必要はありません。今日は、捉え直してみるだけで十分です。


まとめ

何をやっても、たいてい反対意見は出るものです。それは、あなたの選択が間違っているからではなく、人がそれぞれ違う見方をし、変化に損失を感じ、本心からは一致しないからです。全員の賛成は、はじめから存在しません。

だとすれば、目指すべきは「反対をゼロにすること」でも「全員に賛成されること」でもありません。反対はあって当たり前、という前提に立ち、その存在におびえすぎないことです。

反対は、あなたへの否定ではなく、人が多様であることの表れです。次の記事では、その反対の中から、聞くべきものと、流していいものを、どう見分けるかを見ていきます。


参考文献

※1: Pronin E, Gilovich T, Ross L. Objectivity in the eye of the beholder: divergent perceptions of bias in self versus others. Psychol Rev. 2004. PMID: 15250784
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15250784/
人は自分のものの見方を客観的で正しいと感じ、自分と違う見方をする相手のほうが偏っていると考えやすいことを示した研究。

※2: Tom SM, Fox CR, Trepel C, Poldrack RA. The neural basis of loss aversion in decision-making under risk. Science. 2007. PMID: 17255512
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17255512/
人が、同じ大きさなら得よりも損を重く感じる「損失回避」を、脳の働きから示した研究。変化への反対が生まれやすい背景。

※3: Berns GS et al. Neurobiological correlates of social conformity and independence during mental rotation. Biol Psychiatry. 2005. PMID: 15978553
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15978553/
人が多数派と違う意見を持つことに、脳のレベルで居心地の悪さを感じることを示した研究。

※4: 鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』岩波書店, 2019, ISBN: 9784005008933
その場の空気やみんなの顔色に合わせ続けず、自分の判断を保つことの大切さを示した書籍。

※5: 岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』ダイヤモンド社, 2013, ISBN: 9784478025819
すべての人に好かれ賛成されることはできないと認め、他者の評価と自分の課題を切り分ける考え方を示した書籍。

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