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職場で自分が浮いているのは「文化」のせい? それとも「仕事」のせい?|ズレの原因を見分ける

職場で自分が浮いているのは「文化」のせい? それとも「仕事」のせい?|ズレの原因を見分ける キャリアの話

「職場で浮いている」と感じるとき、その原因をひとくくりにしていないでしょうか。前回までの記事で、浮いているのは嫌われているからでも劣っているからでもなく、あなたとその場の「適合度」のズレだとお伝えしました(くわしくはなぜ自分だけ浮くのか|「嫌われている」のではなく「合っていない」から)。

ただ、ひとことで「合っていない」と言っても、その中身は一つではありません。大きく分けると、ズレには二つの種類があります。一つは「組織文化」とのズレ。もう一つは「業務内容」とのズレです。

この二つは、つらさの感じ方が似ているため、混同されがちです。けれど、どちらが主な原因かによって、取るべき対処も、最後の選択肢もまるで変わってきます。この記事では、あなたの「浮いている」が、文化のズレなのか、仕事のズレなのかを見分けるための整理をしていきます。


「浮いている」には2つの種類がある:文化のズレと業務のズレ

働く人の消耗は、一つの原因から生まれるわけではありません。研究では、職場でのすり減りは、価値観の不一致や、仕事量・裁量のミスマッチなど、複数の領域のズレから生じることが示されています(※1)。つまり「合わない」にも、いくつかの種類があるということです。

このうち、職場で浮いている感覚に深く関わるのが、次の二つです。

  • 組織文化とのズレ:その職場の価値観・空気・人間関係のスタイルが、自分と合わない
  • 業務内容とのズレ:任されている仕事そのものや、求められる動き方が、自分に合わない

人によっては、片方だけが原因のこともあれば、両方が重なっていることもあります。まずは、この二つを別のものとして切り分けてみることが、こんがらがった「浮いている」をほどく出発点になります。


組織文化とのズレ|価値観・空気・人間関係が合わない

組織文化とのズレとは、簡単に言えば「この職場の当たり前が、自分にはしっくりこない」という感覚です。

たとえば、成果よりも長く居ることが評価される空気。本音より建前が優先される雰囲気。大きな声や勢いで物事が決まる文化。飲み会や雑談での距離の詰め方が前提になっている人間関係。仕事の中身そのものは嫌いではないのに、その「やり方」や「空気」に馴染めない。これが文化のズレです。

研究では、従業員と組織の価値観がどれくらい一致しているかが、仕事の満足度や働く態度に深く関わることが示されています(※2)。価値観が合わない場所では、何をしても根っこのところで居心地の悪さが残ります。それは、あなたの人間性の問題ではなく、価値観の方向が違うというだけのことです。

文化のズレの特徴は、「仕事内容を変えても、解消しにくい」という点にあります。同じ会社の中で別の業務に移っても、文化そのものは多くの場合そのまま残るからです。


業務内容とのズレ|仕事そのもの・適性が合わない

もう一つが、業務内容とのズレです。これは「人間関係や空気はそこまで嫌じゃないのに、仕事の中身が自分に合わない」という感覚です。

たとえば、細かい正確さを延々と求められるが、自分は大きく考えるほうが得意。逆に、ざっくりした進め方を求められるが、自分はじっくり突き詰めたい。人と話し続ける仕事だが、自分は集中して一人で進めたい。求められる動き方と、自分の持ち味がかみ合っていない。これが業務のズレです。

研究では、仕事そのものとの適合、いわゆる「人と仕事のフィット」が、働く満足感や意欲に関わることが示されています(※3)。仕事の中身が自分の強みや関心と離れていると、毎日が「自分らしくない動き」の連続になり、それが浮いている感覚につながることがあります。自分の適性を整理し直す視点は自分が弱いのか、今の職場が原因なのかを見分ける方法も参考になります(※4)。

業務のズレの特徴は、「同じ会社の中でも、役割や部署が変われば解消しうる」という点です。ここが文化のズレとの大きな違いです。


どちらのズレか、見分けるセルフチェック

自分の「浮いている」が、文化と業務のどちらに近いのか。次の問いに、心の中で答えてみてください。

文化のズレを疑うサイン:

  • 仕事の内容そのものは、嫌いではない(むしろ好きな部分もある)
  • つらいのは、評価のされ方・人間関係・職場の空気のほうだ
  • 「この人たちと価値観が違う」と感じることが多い
  • 部署が変わっても、この会社では同じだろうと思える

業務のズレを疑うサイン:

  • 人間関係や雰囲気は、そこまで嫌ではない
  • つらいのは、任されている仕事の中身や、求められる動き方だ
  • 「自分の得意なことが、ここでは活かせない」と感じる
  • 別の役割や部署なら、もっと力を出せそうだと思える

上のグループに多くうなずくなら文化のズレ、下なら業務のズレが主な原因かもしれません。両方にうなずいた場合は、二つが重なっている可能性があります。その場合も、「どちらがより重いか」を考えてみると、次の一歩が見えやすくなります。


なぜ切り分けが大事か|対処と出口が変わる

この見分けが大切なのは、原因によって、有効な打ち手がまるで違うからです。

業務のズレが主な原因なら、必ずしも会社を離れる必要はないかもしれません。役割の調整を相談する、部署異動を希望する、得意を活かせる仕事に少しずつ寄せていく。同じ職場の中でも、解消の余地があります。社内で動くか外に出るかの比較は転属と転職どちらを選ぶべきか?後悔しない判断基準を分かりやすく整理で扱っています。

一方、文化のズレが主な原因なら、話は変わってきます。文化は個人の努力で変えにくく、部署を移っても残りやすいものです。この場合は、無理に自分を合わせ続けるより、より自分の価値観に合う環境を探すことが、現実的な選択肢として浮かんできます(※5)。

もちろん、どちらの場合も、すぐに結論を出す必要はありません。大切なのは、「何がズレているのか」を正しくつかんでから、打ち手を選ぶことです。原因を取り違えると、せっかくの努力が空回りしてしまうからです。


今日からできる小さな一歩

今日試してほしいのは、紙の真ん中に線を引いて、左に「組織文化(空気・価値観・人間関係)」、右に「業務内容(仕事の中身・求められる動き方)」と書き、自分の「つらい」がどちらに多く集まるかを、書き出してみることです。

最近の「浮いている」と感じた場面を思い出して、その一つひとつを、左か右に振り分けてみてください。「会議で自分だけ温度が違った」は左かもしれません。「この作業がどうしても苦手で消耗する」は右かもしれません。

振り分けてみると、ぼんやりしていた「浮いている」が、文化寄りなのか業務寄りなのか、輪郭を持って見えてきます。原因の形が見えれば、次にどこへ働きかければいいかも、おのずと絞られてきます。判断はまだ先で構いません。今日は、ズレの正体を二つに分けて眺めてみる。それだけで十分です。


まとめ

「職場で浮いている」と感じるとき、そのズレには大きく二つの種類があります。価値観や空気が合わない「組織文化とのズレ」と、仕事の中身や求められる動き方が合わない「業務内容とのズレ」です。

この二つは似て感じられますが、性質はまったく違います。業務のズレは同じ会社の中でも役割を変えれば解消しうる一方、文化のズレは部署を移っても残りやすいものです。だからこそ、どちらが主な原因かを見分けることが、的を外さない対処への近道になります。

自分を責める前に、まず「何がズレているのか」を切り分ける。それができたとき、浮いている状態は、ただ苦しいだけのものから、次の一手を選べる対象へと変わっていきます。次の記事では、これらを踏まえて、合わない職場にとどまるか出るかをどう見極めるかを見ていきます。


参考文献

※1: Maslach C, Leiter MP. Understanding the burnout experience: recent research and its implications for psychiatry. World Psychiatry. 2016. PMID: 27265691
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27265691/
働く人の消耗が、価値観の不一致や仕事量・裁量のミスマッチなど、複数の領域のズレから生じることを整理した論文。

※2: Amos EA, Weathington BL. An analysis of the relation between employee-organization value congruence and employee attitudes. J Psychol. 2008. PMID: 19049240
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19049240/
従業員と組織の価値観がどれくらい一致しているかが、仕事や組織への満足度・態度に深く関わることを示した研究。

※3: Warr P, Inceoglu I. Job engagement, job satisfaction, and contrasting associations with person-job fit. J Occup Health Psychol. 2012. PMID: 22308964
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22308964/
仕事そのものとの適合(人と仕事のフィット)が、働く満足感や意欲に関わることを示した研究。

※4: 鈴木祐『科学的な適職』クロスメディア・パブリッシング, 2019, ISBN: 9784295403746
仕事選びで陥りがちな誤りを科学的知見から整理し、自分に合う仕事の中身や条件をどう見極めるかを解説した書籍。

※5: 北野唯我『転職の思考法』ダイヤモンド社, 2018, ISBN: 9784478105559
仕事を「逃げ」ではなく環境を選び直す手段として捉え、どんな基準で組織や働く場を選ぶかを実践的に示した書籍。

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